「釣りと本が好きならこれも読んでみろ」

師匠に言われたこの一言と、一冊の本との出会いから、私の釣りに関するすべてが始まりました。

師匠というのは、専門学校時代の先生のこと。

その先生に勧められたのが「オーパ!」という本でした。

作家は開高健。

初めて読んだ時は、文章の圧倒的な表現力に衝撃を受けたことを今でも覚えています。

そこからこの作家に興味を持ち、当時学生だった私は本屋にあるこの作家の本を片っ端から読み漁っていきました。

こうして釣りだけでなく、それに関するカメラや執筆への興味がより深くなったのです。

もっといい写真を撮りたい、いい文章を書きたいという気持ちはここから生まれたのだと思います。

ブライダルカメラマンの経験を釣りに活かしたいという原動力が湧いてきたのも、これを読んでいたからでしょう。

こうしてHPを作ることもなかったと思います。

師匠にこの作家と本のことを教えてもらったおかげで、私は釣りに対する世界観を大きく広げることができました。

改めて読み返してみても、まだまだ新しい気づきがあるばかりで、決して飽きることがありません。

そしてこの本の釣行記の中に、

「ニーチェは、男が熱中できるのは遊びと危機の二つだけだ」と言った。

という、考えさせられる一文が用いられています。

今でも忘れられず、釣りをしているときにふと思い出すのです。

遊びと言われれば釣りは自然の中で喧騒を忘れて夢中になれるし、危機と言われれば確かに釣り人は信じられないようなところに立っていることがあります。

感じ方は人それぞれだと思いますが、確かになあ、と納得している自分がいました。

ニーチェはドイツの哲学者ですが、本屋に足を運ぶことが多いという人は、一度は耳にしたことのある名前でしょう。

そんな哲学的なことと釣りの話しを上手に絡めて文章にしているところが好きで、読んでいるとついつい夢中になってしまうのですね。

作家の知識がとにかく豊富で、ふとした文章から考えさせられることが多いです。

この他にも、いろいろな言葉を使いながら、釣りについてどんなことを書いているのか。

気になった方はぜひ「オーパ!」(開高健)を手にとってみてください。

自分の釣りに対する世界観を、大きく広げてくれる1冊になるはずです。