ありがとう、5D Mark III。共に歩んだ時間と景色。
これまで支えてくれた「EOS 5D Mark III」について、少し語ってみようと思います。
それほどまでに、思い出がたくさん詰まったカメラでした。

このカメラが発売されたのは、2012年の3月。
当時学生だった私は、まだ写真の勉強を始めたばかりで、このカメラのすごさにも気づいていませんでした。
写真の勉強といっても独学だったので、毎日のように書店に通っては写真コーナーの本を片っ端から読み漁っていたものです。

次第に知識も深まり、
「センサーには“フルサイズ”というものがあるらしい」
「暗い場所ではISO感度を上げたいけど、ノイズ処理が重要らしい」
そんな情報を、ひとつずつ噛みしめながら学んでいた頃のことです。
ある日、専門誌の見開きページに、ISO感度12600で撮影された写真がドンと掲載されていました。
キャッチコピーは「地球の光をすべて受け止めるために」。
もう、それが当時の自分には響きまくったのです。
見開きで使われていた写真のクオリティも素晴らしく、「高性能なセンサーって、こんなにすごいのか!」と感動したのを今でもよく覚えています。

その後、「買えるのかな?」なんて調べてみたりもしましたが、学生の自分にはまったく手が届かず、長らく“憧れのカメラ”のままでした。
そんな日々を経て社会人になり、仕事も少しずつ覚えていく中で、ついにこのカメラを使える日がやってきます。
それは、ブライダルの撮影現場に入り始めたころ。
当時勤めていた会社が導入してくれて、憧れの「EOS 5D Mark III」がついに自分の手元にやってきたのです。
それはもう嬉しくて。
先輩カメラマンからも「そんなにか!?」と不思議がられるほど、喜んでいたのを覚えています。
少しでも早く上達したくて、仕事が終わったあともそのカメラで練習する日々が続きました。

そして月日が流れ、いよいよフリーランスとして活動を始めることに。
そのためには当然、自分のカメラが必要です。
迷うことなく、私は「EOS 5D Mark III」を相棒として選びました。
当時の自分には高価な買い物でしたが、後悔は一切ありませんでした。

それからというもの、魚釣りの現場に、ブライダル撮影に、イベント撮影などなど。
雨の日も雪の日も、数えきれないほどの現場を、このカメラと一緒に乗り越えてきました。
こうして振り返ってみると、本当によく頑張ってくれたな。
そして、自分自身を成長させてくれた存在だったなと、しみじみ感じます。

まだまだ書ききれないほどの思い出がありますが、
それだけ「EOS 5D Mark III」は、自分にとって大切な存在でした。
時の流れを感じつつ、このあたりで、少しお休みしてもらおうと思います。
そんな節目の気持ちを込めて、今回少しだけ語らせてもらいました。
あの頃の自分に、「このカメラと一緒に、こんなにも多くの景色を見てきたよ」と教えてあげたい。
ありがとう、「EOS 5D Mark III」。
これからも、心の中でずっと大切な存在です。